地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
陸……怖いんだ。

あの時の、恐怖があって……。



「じゃあね、教えてあげる」

「ん?」


「京都の翠叔父さんって、お父さんたちの3兄弟の中で、1番強い結界をつくれる人なの」


「それで?」


ヤツにしっかりと抱きしめられたまま、説明を続ける。



「京都の神崎家も結界は頑丈だから。それに、駅に迎えに来てもらう約束だし、帰りも駅までは叔父さんが送ってくれるの。だから、陸は安心して待ってて?」


――ギュッ


体力が回復し、ようやく力が入るようになった手で、陸を抱きしめ返した。


大丈夫だから、心配しないで。

そんな思いで、陸の首筋に顔を埋める。



「無事に帰ってこいよ、絶対に」

「うんっ!」



力強い声で言われ、元気よく返事をした。

そして、お互いの体を離し、顔を合わせる。


「京都に行ってまで迷子になるなよ?」

「ならないってば!」

「さあ? お前のことだからどーだか」


ニヤッと笑う陸は、もういつもの陸に戻っていて。


あたしが行っても大丈夫だなって思えた―――。



< 437 / 622 >

この作品をシェア

pagetop