地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
彼女は、翠叔父さんの娘で、神崎早和(かんざき さわ)。

あたしより3つ年下で、現在高校1年生。

つまり、従妹ってこと。


「早和ちゃんが迎えに来てくれたの?」

「うん! 学校休みだし、杏樹ちゃんに会いたかったから……」

「ありがとう」


ニコニコと笑う彼女にお礼を言う。


「ほら、お父さんたち家で待ってるから。行こ!」


早和ちゃんに促され、駅からバスに乗り……京都の神崎家に向かった。

あたしの家と変わらないくらいの敷地面積を、ぐるりと囲む高い塀。

その塀よりも高い場所に、透明な膜のようなものが見えた。


あぁ……叔父さんの結界だ。


これがある限り、この家の中は安全だ。


時代劇に出てくるお奉行所のような門を開けると、これまた広くて手入れされた庭が広がり……門からしばらく歩くと、平屋の日本家屋がある。


だけど、その家も広すぎて、迷子になること多々あり。


「着いたぁ~」


門から玄関に着くまでに疲れてしまう距離にあるこの家が。


京都版、神崎家。

風情を大切にする土地柄もあって、ここは、純和風の家。

大きな平屋に、庭。

そして、家の裏には庭園があり……滝が流れる池もある。


その池は、普通の池じゃないんだけどね。


まぁ、それはもうちょっと後で話すとして。


「ばあちゃんも待ってるから」


そう言う早和ちゃんに続いて、家の中に入る。


「お邪魔しま~す」


そろそろと玄関に足を踏み入れた。

隣にいる彼女も、「ただいま~」と叫ぶ。


すると。


――パタパタパタ……

家の奥の方から、駆けてくる人が。


「おかえりなさい!」


そう言って、出迎えてくれたのは、翠叔父さんの奥さんで、あたしの叔母さんにあたる……真菜(まな)さん。

< 439 / 622 >

この作品をシェア

pagetop