地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「杏樹ちゃん、終わったのよ?」
ばあちゃんのその声を聞いた瞬間。
――ドサッ……
全身の力が抜けて、その場に仰向けで転がる。
体中汗びっしょりで、着ていた着物が肌に張り付いていた。
閉じていた目を開けると、柔らかく笑うばあちゃんの顔が見える。
「お疲れ様。翠が、よく頑張ったですって」
そう言って、祈祷の成功を知らせてくれた。
よかった……。
守護の呪……できたんだ……。
「ありがと……」
一言、カラカラになった喉から声を振りしぼり、お礼を言う。
「さぁ、もう休みなさい。あとは、ばあちゃんがやってあげるから」
優しく頭を撫でられて、再び目を閉じる。
「本当に……大きくなったのね……」
ばあちゃんのそんな声を聞きながら、あたしは力尽きて……意識を手放した。