地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
京都は、昔から妖怪が棲むにはうってつけの場所で。

守護をする陰陽師がいなければ、西日本は妖怪で溢れてしまう。




神崎家の中で、若く、守護に長けていたのは、翠―――。



私たちの子供だった。



おじいちゃんは、翠に、京都守護の任務を命令し、赴かせることにする。




だけど、翠が行った時には、もう妖怪があふれ出すギリギリ一歩手前で。


もっと守護の力が必要だった。


翠から応援要請を受けて、おじいちゃんは考える。


力が、ずば向けていたのは、孫の杏樹。


だけど、こんな小さい子を、親から引き離して、京都に置くなんて……酷すぎた。






だから、私が名乗り出たの。





「私が、翠の手伝いをするわ」




それを言った時の、おじいちゃんの顔。


今でも忘れられない。

悔しさと、悲しさで溢れてた。




なんだかね、私と離れることが辛かったみたいで。


なかなか決断してくれなかった。




「……すまない。こっちから会いに行くから」




うす暗く、電気もつけない自室で、私の両手を握りながら、おじいちゃんは言ったのよ。




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