地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
本当に、大きくなったわ。

見なかった4年間で、一回りも二回りも成長している。



この子を、ここまで伸ばしたのは……誰のおかげかしらね?



付き合っている男の子かしら?

それとも、おじいちゃん?




そして、陰陽師としての成長だけでなく、女性としてキレイになった。




私は、ごく普通の地味な容姿だったから、おじいちゃんの血に似てよかったわ。


生んだ子供たちも、おじいちゃんに似たし、杏樹も樹里ちゃんに似て、キレイに育った。



「あなたは……力は、私に似ちゃったけど、容姿は、地味な私に似なくてよかったわ」



そう言うと、杏樹は驚いた顔をする。



「ばあちゃん、何言ってるの? あたし、神崎一族の中でも珍しいほどの地味子なんだけど!! だいたい、ばあちゃんってメチャクチャ美人さんだよ!?」



力説する孫は、自分の容姿に自覚がないらしい。

まったく、これでは付き合っている男の子が苦労するわね。



私が美人ですって?

まぁ……もう、家族なんだから、お世辞を言わなくてもいいのにね。



「もうちょっと、自分がキレイだってことを自覚しなきゃね」


杏樹に微笑みながら言うと、また力説した。


「自覚がないのは、ばあちゃんでしょ!? もう~60代になっても、こんなにキレイな人、なかなかいないからっ!!」


クルクルと変わる表情は、あの頃、この孫が幼い時にはなかったもの。

それが、今あるってことが何よりうれしかった。



「はいはい。杏樹ちゃんは天然なのね」

「それは、ばあちゃんだよ!!」


怒ったように言う杏樹が、かわいくて仕方がなかった。 
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