地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
確かに、色々聞いたけど、顔は知らないのよね。

見てみたいわ。


「あ~う~……うん」


粥をすくった蓮華を口に含みつつ、勘弁したように、小さくコクンと頷く。


「じゃあ早く!!」


早和に急かされて、杏樹は残りの中華粥を口に入れた。

お盆を膝から自分の隣に置いて、立ち上がる。


一旦部屋の中に戻り、ケータイを手にして帰って来た。


――カチカチ……

操作をして、私たちに見せてくれる。


「コイツです」


そう言う杏樹の顔は、月明かりでもわかるほど真っ赤。


よっぽど恥ずかしいのね。

家族に、自分の彼氏を紹介するんだから。


そう思いつつ、孫が見せてくれた写真を見ようとすると。


「キャアアアアアアア―――!!」


早和が悲鳴を上げた。

あら……どうしたのかしら?

不思議に思って、私も見ると……。


「ちょっと杏樹ちゃん! 誰この人!! 超イケメンじゃん!」


早和が、興奮しながら叫ぶ。


確かに。

ケータイの画面に写っている男の子は、ものすごくカッコよかった。

でも、この子……見たことあるわ。


「杏樹ちゃん、この方……滝本さんの御子息?」


問いかけると、杏樹が驚いたという表情をする。


「ばあちゃん、陸のこと知ってるの!?」


仰天という文字がピッタリとあうような様子で返された。


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