地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そして。


「きゃ! 取材の時間になっちゃう!」


しばらく、楽しくお茶をしていたのに、腕時計を見た茅那ちゃんはお仕事に行かなければならないらしく。


「楽しい時間をありがとうございました! 失礼します」


なんて言って、早足に病室を出ていった。



彼女がいなくなって、あたしは紅茶を飲む手を止める。


「さて、茅那ちゃんも帰ったことだし……今日の本題に入るね」


ゴソゴソと、教科書の入ったバックの中をあさって、あの巾着袋を取り出した。


袋の紐を解いて、中身をスカートの上に出す。

――シャラ……


みんなの視線が集まって来るのを感じた。


「杏樹それ……私の……」


柚莉が、コーヒーの入ったカップを片手に、あたしの膝の上にあるアクセサリー類を指差す。


そう。

これは、みんなから預かり、昨日ばあちゃんの家から持ち帰った、あの霊力の宿った守護の呪。


時計、リング、ネックレスなどのアクセたち。


それを、持ち主ひとりひとりに返した。

全員に返したところで、口を開く。


「それだけは、絶対に肌身離さずにいてね」

「これが、その……守護の呪っていうものなの?」


ありさちゃんが、自分のネックレスを見つめながら聞いてきた。


「うん。それを身に着けている限り……絶対にケガとか、禍には巻き込まれないよ」


少し微笑みかけて、彼女にそう返す。


「すごいね……あーちゃんって」


ありさちゃんの言葉に、全員が頷いた。


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