地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そんな会話の後、次第に……杏樹の声がヘッドホン越しに大きく聞こえる。
「……ひゃあっ……もう陸ってばっ! あっ……」
男は、ふたりが何をやっているのかは、想像できた。
「おのれぇ~滝本めっ! 俺の杏樹になにを……」
男は陸に対する嫉妬心と怒りで、握った拳をプルプルと震わせる。
自分の杏樹に、陸が手を出すことが耐え切れなかったのだ。
ヘッドホンからは、止まることなく……杏樹の“声”が聞こえる。
最初こそは、拒否のような言葉が入っていたが、今は、もう女としての甘い声しかない。
「絶対に……滝本を、ヤツを……亡き者にしてやる」
部屋の中に、憎悪を込めた言葉が響いた――――――。
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