地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
1番聞きたくなかった言葉が、耳に入って来た。
「……え? 倒れた……?」
ワンテンポ遅れて、そう聞き返す。
今、自分の手に、何も持っていなくてよかったと思った。
だって、ものすごく震えているんだもん。
ガタガタと小刻みな運動をする手を握りしめ、どうにか落ち着かせようとする。
でも、陸が倒れただなんて聞いて、平然とはしていられなかった。
「社長室で、倒れている所を秘書が見つけてね、病院に行ったらしい……」
「そ、それで……容体は……?」
あたし、声震えてるかも。
病院に運ばれたこともショックだったけど、それよりも今どうなのか知りたい。
小田さんの目をジッと見つめる。
ただの女子大生だと思っている彼は、どうしてあたしがここまで必死に聞いてくるのかと不思議そう。
あたしと陸の関係はバレたっていいの。
だけど、このバイト中に、陸のことを知る手段は、彼らの情報しかなかった。
「ご自宅に戻られたって聞いたけどね……」
その言葉を聞いて、ちょっとホッとする。
入院とかはしなくて良かったんだ。
そこまで大事ってわけじゃないのかな?
でも、アイツの顔を見るまでは……怖いよ。
あの笑顔で『バーカ、心配すんな』って、聞くまでは……。
「そうですか……」
接客用の笑顔をつくることも忘れ、素のまま返した。
「杏樹ちゃん?」
「え?」
「社長のこと、気になるの?」
「あっ……いや。私と同い年なので、気になって……」
とっさに誤魔化す。
「……え? 倒れた……?」
ワンテンポ遅れて、そう聞き返す。
今、自分の手に、何も持っていなくてよかったと思った。
だって、ものすごく震えているんだもん。
ガタガタと小刻みな運動をする手を握りしめ、どうにか落ち着かせようとする。
でも、陸が倒れただなんて聞いて、平然とはしていられなかった。
「社長室で、倒れている所を秘書が見つけてね、病院に行ったらしい……」
「そ、それで……容体は……?」
あたし、声震えてるかも。
病院に運ばれたこともショックだったけど、それよりも今どうなのか知りたい。
小田さんの目をジッと見つめる。
ただの女子大生だと思っている彼は、どうしてあたしがここまで必死に聞いてくるのかと不思議そう。
あたしと陸の関係はバレたっていいの。
だけど、このバイト中に、陸のことを知る手段は、彼らの情報しかなかった。
「ご自宅に戻られたって聞いたけどね……」
その言葉を聞いて、ちょっとホッとする。
入院とかはしなくて良かったんだ。
そこまで大事ってわけじゃないのかな?
でも、アイツの顔を見るまでは……怖いよ。
あの笑顔で『バーカ、心配すんな』って、聞くまでは……。
「そうですか……」
接客用の笑顔をつくることも忘れ、素のまま返した。
「杏樹ちゃん?」
「え?」
「社長のこと、気になるの?」
「あっ……いや。私と同い年なので、気になって……」
とっさに誤魔化す。