地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
べッドの上で、陸の足を跨ぐようにして抱きつき、首筋に顔をうずめる。

わけがわかんなくて。


この場でどうすればいいのか、解決策が見つからなくて……ただ泣くばかりのあたしに。


「杏が抱き着いてくると……体がラクになる……」


陸がそう言った。

その言葉を聞いて、少しだけ顔を上げる。


ヤツの表情を見ると、確かに、いくらかさっきよりも、良くなっているような気がした。

これって……あたしの霊力があるから?


穢れのない力は、呪詛には勝る。

陸にかけられている呪詛は、あたしの霊力より弱いってことかな?



「……あれを……やれるかもしれない」


自分の手を見つめながら、呟く。


その言葉に、陸がハッとした表情になった。


「杏……身代わりだけなすんな」


そして、鋭い声音で言い放つ。


「へ?」

「松沢の時にやっただろ……呪詛を移し替えて……」

「あ……あれね」


陸が心配しているのは、あの時の。


あたしが体調を崩すまで、我慢していた呪詛の身代わり。


柚莉にかけられた呪詛を、命が危ないからって肩代わりしたんだ。


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