地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
守護の呪をつくるために、いつも強力なお守りになっているネックレスを一時期外したから、呪詛を避けることができなかったと。
そう悔やんでいた。
「いいんだよ。結果的に、俺は助かってるし。もう気にすんな」
ポンポンと、杏の頭を優しく叩く。
彼女は、何も言わず……ただ抱き着いてきた。
だけど、次第に……杏の纏うオーラが……黒く見えるのは気のせいだろうか。
静かに……キレているような?
「杏?」
密着していた体を離し、顔を覗きこむ。
「あのさ~呪詛自体は、素人がかけたモノなんだよ」
「あぁ……」
突然、なんだ?
しかし、杏の口は止まらなさそうなので、黙って話を聞くことにした。
「……陸に呪詛かけるとか、あたしにケンカ売ってるよね、マジで」
「そ、そうか……?」
「うん。絶対に犯人見つけ出して……ぶっ殺してやる」
その一言を行った杏こそ、マジで怖い。
「杏……口悪くなってんぞ」
彼女の静かに燃え上がる炎を、おさめようとする。
しかし……。
「あ、そう? じゃあね~体中バラバラにして、火ですべてあぶってあげるね♪」
「軽やかな口調の割に、恐ろしいこと言ってる……」
逆効果だった。
さっきより、グロテスクな言葉がポンポンと杏から出てきたし。