地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「……おじゃまします」
「どうぞ」
ニッコリ微笑んで言うと、杏は眉間にシワを寄せたままイスに座る。
もちろん……俺の隣に。
「ホントちょうどよかったわよ。助かったわ蓮」
同じく蓮の隣に座った朝比奈が、ニコニコした顔でコーヒーに口を付けた。
「うぅ〜……なんで陸の横なの……」
それに対して、杏は泣きそうな表情だ。
「何。俺の隣がイヤなわけ?」
「うん」
俺からの問い掛けに、即答で返す。
おい。
ちょっと傷つくんだけど……。
「……気がついてないの!? あたし、周りにいる女の子達からめちゃくちゃ睨まれてるんだよ!?」
小声で、後ろを指差しながら言って来た。
バーカ。んなの、気付いてるに決まってるだろ。
むしろ……気がついてねぇのは、杏……お前の方だ。