地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「そういや、あのラブレターまだ来てんのか?」


思い出したというように、陸が問いかけてきた。


――イラッ

あのラブレターの内容を思い出し、ムカムカしてくる。


「あの野郎……あたしの前に出て来たら、絶対に縛魔術にかけてやる」


物騒なことを言ったからか、陸の顔が引きつっていた。

いやね、あのラブレター……まだ毎日届くんですよ。

あの日見た内容で。

もうっ……毎回イライラが止まりません。

陸のことを悪く書いてあるし、別れろだの、ふさわしくないだの。

こんなことを書くお前に言われたくないわってね。

写真まで撮ってさ!


そのことを陸に話すと……。


「杏」

「ん?」

「お前……それは、ストーカーって言うんじゃないのか?」

「ほえ?」


引きつっていたヤツの表情が、真剣なモノになった。

ストーカー……?


「写真撮られて、プレゼント届いて、俺と別れるように言われて……お前を好きなヤツがやってるとしか思えねーだろ?」

「え、そうなの?」


正直、写真を送られてきて、気味は悪かったけど……。

脅迫文や証拠写真とか、今までに、散々送られてきていたからさ。

あんまり頓着してなかったよ。

陸に、そう言ってみたら。


「もうちょっと……自分のことも考えろって」


はぁ~と、大きくため息をつかれた。


「でも、直接的に被害はないし……大丈夫だよ! それより、陸の方を先に解決しなきゃ!」


あたしの頭の中は、そのストーカーよりも、陸のことを優先していて。

早く犯人を見つけなきゃ、と考えていた。


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