地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
会長たちを襲った犯人は、まだ警察が探している。

なんか、人気の少ないところで襲われたから……犯人の目撃者がいないんだって。

警察も難航してるんだよね。


「早く捕まえてもらわないとね」

「あぁ……そうだな」


顔は見えなくても、お互いの声音で、表情がわかるような気がした。




抱っこしてもらって、しばらくたった頃。


「杏? お前、ただ瘴気を取り除きに来たのか? それとも、なんか用事か?」


陸にそう話しかけられて、ここに来た目的を思い出す。


「あ、忘れてた……」


抱っこが心地よくて、ラブレターと写真のこと、すっかり頭から飛んでたね。



――カサッ


近くに置いていたバックから、封筒を取り出し、陸に渡した。


「なんだ、これ」

「読んでみて? 朝言ってたヤツだよ」


そう言うと、陸は封筒を開けて、ラブレターに目を通す。


そして、もうひとつの封筒に入っていた写真にも……。




ラブレターの内容を読んでも、陸は意味がわからない様子。


「ねぇねぇ! この女性たち、誰なのか知ってる?」


写真を眺めるヤツに問いかけた。


「いや……」


そう言って、今度は白衣を着た女性の写真を見た瞬間。


「え……」



陸の顔色が変わった。



さっきまで、赤みがあったのに、蒼白になっている。


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