地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
自分の教室に戻りながら、心の中で愕然としていた。

女たちから、そんな風に見られていたのか。

いや、あの女だけかもしれない。


そう考えた。


学校じゃ、ネコ被ってるけど……俺の中身を見てくれるヤツだって、ひとりくらいはいるはず。


そう思いたかった。

しかし、その願いも消え失せることになる。


自分の教室の手前の教室の前を通ろうとした時。

――ヒソヒソ

残っているらしい数人の女子たちが、何か話をしている。

特に気にも留めなかったが。


「えっ、滝本くんにフラれたの?」


その一言で、足を止めた。

教室の中をコッソリと覗いたまま、耳を澄ませる。


「え~エリカちゃんが断られるなんてありえない!」


俺がフッたらしい女の友達が、信じられないというような顔をした。


エリカと呼ばれたヤツは、不満だというような顔をしている。

フッたから覚えてもねぇけど、エリカはそこそこの美人だった。


「エリカ悔しい! 絶対に彼女になりたかったのに!!」


両手で拳を作るヤツを慰めるまわりの女子たち。


「滝本くん、みんな断ってるもんね。エリカの何がダメなのかわかんない」

「そうそう!」


俺は教室入り口の扉に背中を預けて、その話を聞いていた。


「陸くんって、かっこいいし、お家がお金持ちだし。付き合ったら、絶対まわりに自慢できるのに……」


エリカの言葉に、うんうんと同意するまわりの友人たち。


この考えは、あの女だけじゃなかったようだ。


全員の見るところは、容姿と家柄だけってことか。


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