地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
もういいや。

オムライスに集中しよう!

そう思って、スプーンをふわふわの卵の部分に差し込んだ瞬間。


「杏樹ちゃん」


背後から、声をかけられる。

せっかく食べようとしたのに。

なんて思いつつ、後ろを振り返ると・・・・・。


そこにいたのは……。


「た、橘くん……?」


しばらく顔を見ていなかった、同じ学部の人。


「久しぶり、みんなでお昼ご飯?」

「うん……」


あたし達が食べているご飯を見ながら、彼が問いかけてくる。


橘くんとは、この間の、食事会のことがあるから……あんまり関わらないようにしていた。


イヤ~な予感がする。

なんとなくだけど……。


そして、その予感は……的中することに。


「俺も一緒に食ってもいい?」

「え……」


当たってしまった予感に、ちょっと放心していると、


「ここいいよね?」


橘くんは、まだいいとも何とも言っていないのに……零ちゃんの隣のイスにご飯を乗せたトレーを持って、腰掛けた。




あたしたちが座っていたのは、4人掛けのイスがあるテーブル。


あたしと陸が隣同士に座り、向かい側に零ちゃんが座っていたんだけど。


彼は、零ちゃんの隣に座って、あたしの真向かいになった。


隣になった零ちゃんは、彼のことが嫌いの様子で……一切話すこともせずに、クルクルとパスタをフォークに巻き付けて口に運んでいる。


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