地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
き、気まずい……。


彼が登場した瞬間から、陸の雰囲気が一変している。


閻魔大王様降臨です!



「みんなで食べるなら、俺も誘ってくれたらよかったのに」


ずうずうしく、彼がそんなことを口にした。


その瞬間。



――ゴオオオオオオオ!



陸のオーラがもっと黒いものになる。


地響きが起きそうな気がしてきた。


たぶん、閻魔大王は『なんでおめーを誘わなきゃいけねーんだよ!』って、言いたいはず。


ここは抑えてもらいたい……。



ニコニコと、あたしを見て笑う橘くんは、真っ白な三角巾で片腕を吊ったまま、ご飯に箸をつける。


わ、話題を変えなきゃ!



そう思って、あたしは彼に自ら話しかけた。


「橘くんの腕って、まだ治らないんだね?」

「え? あぁ……これね。医者からは、あと1ヶ月くらいかかるって言われているんだ」


彼は自分の吊った腕を見ながら答えてくれる。



というか、橘くんが腕を骨折したのは……あたしのせいだったり。


講義で、席が隣に座っていた彼からのボディタッチが多くて……不快感から術を発動させちゃったんですよね。


橘くんは、一切知らないけどさ。



あれから……だいだい2ヵ月近く経つのに、まだ完全には直らないんだ。


申し訳ないことしたって思うけど、これで、ボディタッチはなくなったから……ホッとしてる。


< 539 / 622 >

この作品をシェア

pagetop