地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
退院の時刻になり、みんな荷物を持って、ぞろぞろと病院の玄関まで向かう。


「おろち~やっと遊べるね!」


ピョコピョコと、会長の横を歩く繭ちゃんが笑顔で言った。


「そうだな」


ボストンバックを持つ会長も、表情は穏やか。


「一時はどうなるかと思ったけど……みんな無事に退院できてよかったね」


会長の荷物を持つ、ありさちゃんがそう呟く。


「「「「「「確かに」」」」」」


彼女の言葉に、全員が口をそろえて頷いた。



事件が起きた時は、本当に最悪の事態を覚悟したもん。

みんな元気になって、よかった!


「あとは犯人が捕まるだけなんだけどね」


零ちゃんが、西国くんと手を握ったまま、苦笑い気味に告げる。


そうだね。

警察に、早く捕まえてもらいたいものだ。



「犯人なぁ……あんまり覚えてないけど、全身黒づくめだった気がする」


相澤くんが、どこを見るでもなく、宙を見ながら言った。


「俺も。意識を失う前に見えたのは、黒い服だった」


会長も彼に同意する。

続くように、西国くんもうなずいて見せた。


犯人は……黒づくめか。


「てことは、男かな?」


柚莉が相澤くんを見ながら問いかける。


「男3人を、一切抵抗させることなくボコったんだから……少なくとも武術の腕は相当だろうな……」


相澤くんが彼女の質問に答えた。


剣道などをおさめた会長たちを抑えられるなんて、何者なんだろう?

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