地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そう言うと、みんなハッとした表情になる。


「そう言われてみれば……滝本くんは暴行されてない……」

「確かにおかしいよね」


柚莉や零ちゃんが言った。

そう言われた陸は、ちょっと顔をしかめている。


「変な犯人だよね。この閻魔大王こそ、妬みそうなのに」


う~んと唸りつつ、少し離れたところにいるみんなのところへと急いだ。


「おい、そんな風に言うなよ」


会長が呆れ気味に、あたしに言う。


「はーい、すみません!」


ペロッと舌を出して、会長に向けて謝った。


何はともあれ、みんなが今ここにいれて、よかったんだ。

陸の呪詛も、絶対に犯人を見つけてやるんだから!

そう意気込んでいたら、いつの間にか……病院の入り口まで来ていた。


「今日はお互いに荷物あるし。退院祝いは、またにしようか?」


持っていたバックを持ち上げて……西国くんが提案する。


「そうだね、これらを持ってご飯食べに行くのもなんだし……」


相澤くんがその意見に賛成した。


「明日から夏休みだし、また会えるもんね」


ありさちゃんがそう言って、ニッコリ笑う。


そうだね。

今日は、テストがあったから大学前期の最終日。

大学の夏休みは、2ヵ月丸々あるんだよ?


そういうわけで、あたしたちは病院の前で解散した。



繭ちゃんを連れて、陸の家に向かう。


今日はヤツも一緒にいるので、迷子になることはない。



スムーズに時間もそれほどかかることなく、陸の家に着いた。


< 544 / 622 >

この作品をシェア

pagetop