地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あたしだけが部屋に入り、まずは恒例の瘴気の除去を行う。


「浄化」


一言告げると、スーッと黒い靄が晴れて行った。


空気のキレイになった部屋に、陸と繭ちゃんを入れる。


「りーくん、あそぼ!!」


キャッキャッと楽しげな笑い声で、ヤツの手を引く繭ちゃん。


「なにすんだ?」


無邪気な彼女を見る陸の顔も、穏やかで。



だけど、次の瞬間。



「お医者さんごっこ!」



繭ちゃんの一言に、陸が固まった。



お、お医者さんごっこ?


どこでそんなの覚えたの?



「おろちが毎日病室でやってたよ? あのね、看護師さんっていう人と!」



あたしたちは、彼女の話に、あんぐりと口をあける。



ちょっと、詳しく聞きたいんですけど。

ジッと見つめると、繭ちゃんが続きを話し始めた。



「看護師さんがね。毎日朝昼晩、おろちのところに来て、『高瀬さん、お熱測りますね?』って言って、ペタペタ体中触るの」

「それで?」


そう聞く陸の表情は、興味津々だ。


「おろちはね、『必要以上には触らないでください』って言うんだけど、看護師さんはペタペタ触るの。キャーキャー言って」


うわ、女嫌いの会長には……さぞかし地獄だったろうな。


「散々だったな……蓮」


クククッと肩を震わせて笑う陸に、繭ちゃんは不思議そうな顔をする。
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