地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
は……?


「なにしているんですかね?」


あたしの上にいる陸に問いかけた。


「なにって、お医者さんごっこだろ?」


そうニッコリ笑いながら、あたしの胸元に手を置く。


「はァ!?」


服の上から動き出すヤツの手に、怪訝な声を出して睨みつけた。


これ、お医者さんごっこじゃないでしょ!

ただのセクハラ!!


「ちょっと退いてよ! こんなお医者さんごっこしないから!」


陸の手を掴んで、反抗してみせる。

ヤツの考えている“お医者さんごっこ”って、絶対に危ない。


けど……。


「いいからいいから」


ニコニコと笑って、あたしの手を引きはがした。

そして、その表情も……次第に、妖艶さを帯びはじめる。


「さて、診察を始めようか?」


ニヤリと笑い、手をあたしの服の中に滑り込ませた。


「このバカ陸がぁぁぁあああ―――!」


部屋中に、あたしの暴言が響いたのは言うまでもない。





「あーちゃん、そんなに疲れたの?」


夕暮れの帰り道で、そう聞くのは、繭ちゃん。


陸とのお医者さんごっこが楽しかったらしく、ニコニコ笑顔だ。


「ちょっとね……」



アハハと乾いた笑いで、彼女の質問をやり過ごす。
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