地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あのバカ。

繭ちゃんとは、普通のお医者さんごっこをやってた。

手首を出して脈をとったり、聴診器のマネをして、服の上からお腹を調べさせたり……。

なのに、なんであたしには……あんなセクハラして!


陸自身は、自分の考えていた“お医者さんごっこ”ができたのか、すんごくご満悦だったし。




あー疲れた。

クルクルと首をまわし、繭ちゃんと家へと歩く。

すると。


「あーちゃん、公園寄って行きたい!」


クイクイッとあたしの手を引いた。

ふと、彼女の隣を見ると、あたしたちがいるのは、いつも遊んでいる公園の前だ。

ここから自宅まで、それほど距離はない。

数分でつくから……遊んでもいいかな?

そう考えて、


「うん、いいよ」


とうなずいた。


「やったぁ~」


パッと笑顔になった彼女は、公園の中へと駆けて行く。


夕暮れ時で、公園内には誰もいない。

のんびりとした足取りで、繭ちゃんを追った。


「あーちゃん、ブランコ!」

「はいはい……」


キラキラとした目で、ブランコに乗り、あたしに背中を押すように言う。


――キーッキーッ

カラフルな色を付けたブランコが弧を描いて揺れた。


「楽しいね~」


ニコニコ笑顔の繭ちゃんが、そう言う。


彼女が笑ってると、さっきまで陸にカリカリしていた気持ちがほぐれていった。


かわいいなぁ~。
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