地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
そして、彼女は大泣きしている。


「どうしたの?」


玄関に膝をついた途端、繭ちゃんがしがみついてきた。



ワアアアアア―――と、泣いている。


問いかけても、今の彼女では何も答えてはくれない。



というか、杏樹は?



こんなに泣いている繭ちゃんを放っておいて……何しているというのかしら?


キョロキョロと周りを見るが、娘の姿はない。



「繭ちゃん、杏樹は?」


彼女の背中を撫でつつ、娘の行方を聞いた。





「い、いなく……なったの……」



泣きすぎて、しゃっくりをしながら答える繭ちゃん。



いなくなった?


どういうこと?



あの娘が、この子を置いて、どこかに行くとは考えにくい。


なにかしらない限り、ひとりにしないようにしているから。


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