地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「誰がそんなこと……」
彼女が感じたビリビリは、たぶん、スタンガン。
こんな小さい子に、そんなもの使うなんてどういう神経してるのよ。
繭ちゃん自身も公園内とその付近を捜したという。
でも、杏樹の姿はおろか……荷物さえもなかった。
誘拐された……?
まさか。
だって、あの娘よ?
神崎家でも、かなりの力を持つ……陰陽師である杏樹が?
でも、仕事以外は天然娘だ。
のんびり屋で、鈍感。
ふいに襲われたら……太刀打ちできないかも。
「渉に電話してみよう」
着ていた服のポケットから、ケータイを取りだし……夫のケータイにかけた。
数回のコールのあと。
≪もしもし? どうした樹里≫
杏樹の父親である渉が、電話に出る。
「渉、今いい?」
まだ抱きついてくる繭ちゃんの背中を撫でながら話した。
≪あぁ≫
今まで起こったことを、渉に説明する。
「……ということなの」
数分後、話し終えた時には……。
≪な、なんだと……っ!≫
電話先で、渉は怒りに震えていた―――。