地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――陸side――

うかつだった。

ちゃんと、忠告は来ていたというのに。



「本当に申し訳ありません」


杏の家族に向かって、頭を下げた。

俺がきちんと家まで送り届けなかったから。



「陸くん、頭を上げて?」


そう言いながら、杏のお袋さんが俺に駆け寄ってくる。




ここは、神崎家。


杏のじいちゃんや親父さんなど集合していた。



本来なら、親父さんもまだ仕事中だろうが……この事態で帰ってきているんだろう。



「まだ、事件というわけじゃないわ」


頭を上げない俺に、お袋さんがそう続けた。




その言葉に、少しずつ頭を上げる。


すると、リビングのソファーに座っている親父さんたちと目が合った。


その目を見ても、怒りの色は見えない。


俺が、不注意だったことに対して……ご立腹というわけではないらしい。




「座りなさい」


じいちゃんが、俺たちを呼ぶ。


「はい、失礼します」


一応、一礼してソファーに全員腰掛けた。



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