地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ヤツは、さっきは指先までは見ていなかったので、今気づいたのだ。
「ネックレスは外したんだがな……」
赤い宝石が、部屋の電気を受けて光り輝く。
リングを一周してついている宝石は、滝本の家の力を感じさせた。
「こんなもの……親の金で買ったくせに!」
男はギリギリと拳を震わせる。
ヤツは……陸が、会社の社長をやっているとは知らなかった。
そして、陸の日々の苦労も。
いくらずば抜けた頭脳を持っているからと言って、学業と仕事の両立は簡単ではない。
誰にでも、体力の限界はある。
そんな中で睡眠時間を削って、夜中まで仕事をこなし。
昼間は、大学へ通う。
それで、“過労”と医師から言われるまで働いていたというのに。
男は、そのネックレスやピンキーリングを親の金で買ってプレゼントしたものだと思い込んでいた。
実際は……自身で働いた給料で買っていたというのに。
「こんなものをつけては……俺の杏樹とは言えない」
男は、一旦部屋を出て……。
鋭い刃物を手に戻ってきた。
――キラッ
電気が反射して、刃物がひかる。
「杏樹、そんなものは……外そうね?」
そう言って、杏樹に近づいた。
**************
「ネックレスは外したんだがな……」
赤い宝石が、部屋の電気を受けて光り輝く。
リングを一周してついている宝石は、滝本の家の力を感じさせた。
「こんなもの……親の金で買ったくせに!」
男はギリギリと拳を震わせる。
ヤツは……陸が、会社の社長をやっているとは知らなかった。
そして、陸の日々の苦労も。
いくらずば抜けた頭脳を持っているからと言って、学業と仕事の両立は簡単ではない。
誰にでも、体力の限界はある。
そんな中で睡眠時間を削って、夜中まで仕事をこなし。
昼間は、大学へ通う。
それで、“過労”と医師から言われるまで働いていたというのに。
男は、そのネックレスやピンキーリングを親の金で買ってプレゼントしたものだと思い込んでいた。
実際は……自身で働いた給料で買っていたというのに。
「こんなものをつけては……俺の杏樹とは言えない」
男は、一旦部屋を出て……。
鋭い刃物を手に戻ってきた。
――キラッ
電気が反射して、刃物がひかる。
「杏樹、そんなものは……外そうね?」
そう言って、杏樹に近づいた。
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