地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「え? なんでですか?」
朝比奈が、杏が持っていないことに対して不思議だと言わんばかりに、じいちゃんに尋ねる。
「ワシらは、陰陽師の家系じゃ。人々を妖怪から護るのが日々の仕事。守護の呪などしておったら、仕事はできん」
神崎家の当主は、そう続けた。
だよな。
禍から身を護っていては、妖怪の調伏なんてできやしない。
妖怪にも会わないかもしれないからな。
「それに、守護の呪は……そなたたちに、ひとりひとり陰陽師がついているようなもの。陰陽師が身に着けて、陰陽師に守ってもらうなど……シャレにならんのじゃよ」
少し笑って、じいちゃんは言う。
そのことを聞いて、安斎は自分のネックレスを見つめた。
「これって、どうやって作るんですか?」
話を聞いていた悠が質問した。
ヤツは、松沢とのペアリングを呪にしている。
悠の質問は、俺も杏に聞きたかったことだった。
今までのお守りは、杏が身に着けているモノを俺がつけるってだけだったからな。
格段に霊力の差があるので、それだけでいいと聞いていたが。
今回のは、わざわざ遠地まで赴いたのだから、何か特別なやり方で作ったのだろう。