地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
すると。


「陸くんを、この4年間見て来た。杏樹ほどではないが、そなたを理解しているつもりじゃ」


じいちゃんが続ける。


「え……」

「ワシらはおぬしを信頼しておる。いつも孫のために、手を貸してくれる陸くんを……いまさら、なぜワシらが過去のことで責めることが出来よう?」


ニッとシワを深くして笑うじいちゃんは、ズズッと湯呑のお茶を飲んだ。



隣の親父さんを見ても、無言でうなずくだけ。

お袋さんも、微笑んでいるように見えた。




あぁ。


やっぱり杏の家族だ。


この人たちがいるから、アイツがあんな風に育ってきたんだ。



「ありがとうございます」



今まで言われた言葉の中でも、格別にうれしい。


感謝の気持ちをこめて、頭を下げた。







そして、ここでひとつのことが判明する。



あの時は、杏に受け入れてもらえたということで頭がいっぱいだったが。



ストーカーは、俺の過去までも調べ上げている人物。



関係していた女たちの今の写真を送りつけて。


相当……杏樹に心酔しているらしいな。

こんなことまで杏に見せて、別れさせたいらしい。


「ん? 杏に心酔……?」


自分で思って、引っかかった。


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