地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あたしはイスに座らされ、胴体をイスの背もたれに鎖で巻きつけられており。


どっかの天井から吊り下げられている鎖を手に巻き、操り人形の糸のように、両手を釣り上げられていた。


逃げようと手足を動かすけど、鎖につながれていて……何もできない。




――カシャンカシャン!


金属音だけが、虚しく聞こえる。



『放してよ!』



彼に向かって叫んだ。



でも……。



「ん? 何を言っているのかわからないなぁ~」



ニヤニヤと気持ち悪い表情で、歩いてくる橘はあたしの望みなんて聞かない。





ヤダッ!


この変態っ!!




鎖がほどけないかと、手足を動かすが……。



余計に締め上げられたような気がした。





「大人しくしなよ、杏樹。もう滝本のところへは……帰りたくても帰れないよ?」





え?



橘の言葉に、抵抗する手が止まる。


< 579 / 622 >

この作品をシェア

pagetop