地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
ウソだ、ウソだ!!

信じたくなくて、ブンブンと顔を横に振る。

こんなヤツに……陸以外に、触られたなんて思いたくない。


「あれ? 信じないのかな?」


涙が出そうになるになるのを我慢して、キッと橘を睨みつけた。


この変態の前で泣きたくない。

それだけの思いで、歯を食いしばって耐える。


ニヤッと笑う橘は、あたしのマキシ丈のワンピースの胸元を引っ張った。


「これが証拠」


え?

視線を、自分の胸元へと向ける。

ハッとした。


陸の家から帰る時にはなかった、赤い印。


それがあったんだ……。

本当に、あたし……コイツに?


ジッと橘を睨みつける。


「ま。寝てる杏樹に最後までは、やらなかったけど」


ヤツのその一言に、少しだけホッとした。


最後まではされてない。


でも……体……触られたんだ。


下を向いて、再び歯を食いしばる。


なんで、こんなヤツに!!



悔しくて、悲しくて、繋がれている手を上下に振った。



――カシャンッ!



広い倉庫内に金属音が響く。



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