地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
どうして?


公園にいた時までは、つけていた。

周囲を見ても、見当たらない。



タカラモノの存在がないことに愕然としていると。


「あれ? もしかして……あのリング探してる?」


あたしの様子に気づいた橘がそんなことを言った。



――コクコク!!


この時ばかりは、ヤツの顔を見てしっかりと頷いて見せる。




あたしのタカラモノどこやったのよ!


心の中では、そう叫びながら、奴からの答えを待った。


すると。


橘はニッコリと笑って……あたしを地獄に落とす。



「あれね~ムカつくから……ここに来るまでに捨てちゃった♪」



簡単に言うヤツを、初めて呪ってやりたくなった。





陸がくれたのに。



一人前になって、あたしの左の薬指に本物をはめるまでの代わりだって言ってくれたのに。


< 583 / 622 >

この作品をシェア

pagetop