地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
―≪バッかじゃないの? この閻魔大王!≫
―「え……?」
―≪アンタがあたしをちゃんと家まで送ってくれないから、こんなことになったんでしょ!?≫
―≪あーイライラする。これもすべて閻魔大王のせいだから!≫
―「杏樹?」
―≪……ったくこの役立たず! アンタには、送って行くくらい役不足でしょ!? えぇ!?≫
―≪閻魔大王! ぬらりひょん! 大悪魔!! この3大妖怪めっ!≫
―≪棚うちと木庭素に。……陸助けて?≫
―「は?」
―≪陸、3大妖怪でしょ?≫
あ……まさか。
音声を聞いていて、思いついた。
――カシャーン
ケータイをその場に落とす。
「陸くん?」
お袋さんが、涙目で俺に話しかけた。
「紙とペン貸してください!」
その声も無視して、新聞の間に挟まっていたチラシと、男性刑事の胸ポケットにあったボールペンを奪う。
「あ、君っ私の!」
刑事の制止も振り切って、チラシの裏にペンを走らせた。