地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
陸だ。

じいちゃんだ。

お父さんだ……!

彼らを見て、視界がぼやけそうになる。


見つけてくれた。

あれだけしかヒントはなかったのに。


「杏樹!」


じいちゃんが、あたしの名前を呼んだ。


「じいっ……ちゃん!」


自由になった手足。

口に張られていたガムテープをはがし。

放心している橘の腕を振りほどき、みんなのもとに行こうとする。



けど。


現実は甘くはなかった。



――グイッ


「きゃ!」



橘に捕まり、首に腕を再びまわされる。


――ヒヤッ


そして、冷たくて硬いものを感じた。


それは……小型のナイフで。


橘が隠し持っていた……いや、あたしを最後に殺すために用意していたモノだった。


「杏樹!」


お父さんたちが顔をしかめる。


ぜっかく、みんなが見つけてくれたのに……この有様。

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