地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
「縛っ――――!」
右手だけで組んだ印で、ヤツに縛魔術をかけた。
「何だこれっ!?」
ガッシリと先ほどまでのあたしのように、一歩も動けなくさせられた橘。
フフッ。
今までのお返ししてあげる。
散々……いいようにされたんだからね。
「言ったでしょう? 本物の……陰陽師の術、見せてあげるって」
「はァ? 杏樹にそんなことっ……!」
不可能だと言わんばかりの表情をされた。
じゃあ、教えてあげようっと。
「なら、どうして……陸への呪詛、なんで成功しないと思う?」
「そんなこと知らねえよ!」
体は一歩も動かないのに、威勢だけは良いんだ。
キッと睨みつけられ……あたしの怒りが増大する。
睨みたいのは……こっちだよ!
縛魔術の力を強め、繭ちゃんの方を向いた。
「ごめんね、それ、持って来てくれる?」
彼女が両手に持っている荷物を指差す。
「はーい」
繭ちゃんが元気よく返事をして、あたしの元へとやって来た。
よかった。
元気だったんだね。
トイレで倒れているのを見た以来だったから、ホッとする。
「ありがとう」
ニッコリ笑って、風呂敷包みを受け取った。