地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あたしの病室は個室で、広い室内には談話なども出来るソファーやテーブルがある。


毎回、そこに陸は腰を下ろし……あたしを膝の上に乗せる。



今日も、いつも通り……陸の膝の上に乗って、ネクタイをいじりはじめた。


最近の遊びは、陸のネクタイをあたしが結び直すこと。


ネクタイってさ、自分では高校3年間結んできたんだけど……人のを結ぶのって、難しいの。

左右どっちに巻くのとか、わかんなくなっちゃうんだよ。


――シュルシュル……


緩めていた陸のネクタイを解き、もう一度、首にかけるところから始める。


「今日はできんのか?」


――コ……クン……

自信なさげに頷いたあたしを見て、ヤツは笑った。



が、がんばります!

と、意気込んで、やってみるものの……。



「はーい時間切れ」



――ガーン!


イメージで言うと、大きな石があたしの頭に直撃してきたような気分。



本日も、できなかった……。



陸が自分で結び直し、キュッと締めた。



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