地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
落胆して、肩を落としていると……陸の大きな手があたしの頭を撫でる。


どうしたの?


顔を上げて、横に傾げて見せた。


「今日はさ、土産持って来てんだよ」


およっ?

お土産??

なになに?


まさか……陸に仕事の手伝いとかじゃないですよね?



ジェスチャーで、パソコンのキーボードを打つマネをしてみた。



「なんだ? 俺の仕事手伝いたいって?」


ニヤッとイジワルく笑う陸に、必死でブルブルと顔を横に振って見せる。



イヤだイヤだ!!


あの地獄のお仕事は、まだいい。


もうちょっと落ち着いてから、やります!


あたしがヒヤヒヤしているというのに、陸はケラケラと笑う。


このバカ陸ッ!

あたしの気持ちをわからせるために、プイッと顔を反らした。

だけど。


「ほら……お前にだよ」


穏やかな優しい声音で、あたしに何かを差し出す。


ほえ?

チラッと、そちらの方に視線を向けると。


「今のお前には、必要なモノだろう?」


ニッコリと素の笑顔の陸が言った。


あたしに差し出されたもの。

それは……。



子ども用の玩具で、モノトーンの画面に付属のペンで文字や絵をかいては、玩具のサイドについているレバーを下ろすと……一瞬で消える、ホワイトボードだった。
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