地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「倉庫にいるってわかって、親父さんたちに陰陽師の術で探してもらったんだよ。あの時は百枚くらいの紙の鳥の式が飛んでったな……」


そう話してくれた陸は、部屋のから見える外を見た。


まるで、あの時のことを思い出すように。


そうなんだ。


じいちゃんたちの協力もあって、あたし帰って来れたんだね。



『陸、見つけてくれて……ありがとう』


そうボードに書いた。



それをみて、ニッと笑う陸。


あたしは、この笑顔をいつまでも見ていたい。



ずっと、この人の隣で。



今伝えたいことが頭に浮かんで、ボードに書こうとした瞬間。



――ガラッ


「杏樹~?」


病室に訪問者が来た。



ふたりで入口に目を向けると、おなじみのメンバーで。



「杏樹~撮影やっと終わった!」


そう言って、あたしのベッドに腰を下ろす、柚莉。



「杏樹! ケーキ食べよう!!」


零ちゃんが、ケーキの入った箱を持ち上げて言う。



「まったく、柚莉。神崎さんに会えるからって、病院の廊下は走ったらダメじゃないか」


そう軽くたしなめるのは相澤くん。

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