隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~
「は、なんだこれ?」

 タケさんは吐き捨てる。

「まさか、あいつ」

 まさか、の内容はあたしも同じく思った事に違いない。

「ち、違うと思います」

 そんなこと……。きっと違う。

「そんなことするヤツじゃないって? そんなの分かんないんじゃねぇのか?」

 タケさんの表情は厳しいままだ。カードを睨みつけるようにしている。

「そ、そうだけど……」

 はぁっ、とタケさんはため息をつく。なんだか、2人の間に流れる空気が変わった気がする。なんだろう、どうして……。

「もう、ずっと一緒なんだな、蓮と」

 タケさんが聞いてきた。

「そう、です。もうちっちゃい時から」

「お前ら、恋人同士なんだと思ってたよ。蓮が、しーちゃんを蓮れてきた時は」

 そう聞かれれば、違うという返事しかできない2人の関係。というか、タケさんが「お前ら」って、ちょっときつい言い方なのが気になった。なんだか、怒ってるような気がする。カードを見てから。

「あいつ……蓮が、違うって言うからな」

 蓮、そんな風に言ってたんだ。それを聞いて、胸がチクリと痛い。

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