隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~

 ヨウコちゃんと別れ、部屋に帰ってきたのを待ってたかの様に、携帯が鳴った。

「おっす、オラ悟空。何してた?」

 ミナトさんだった。ていうか、なんだいまの。何が起こったの。

「いま部屋に帰ってきたよ。……なぁに? ゴクウって」

「知らないのかよードラゴンボールだよ? 俺、好きなの」

 ド、ドラゴンボールくらい知ってるけどね! 知ってるけど突然言うから!

「どう、もう目ぇ回して、酔ったりしてない?」

 笑ってるわけではなく、心配して言っている。ヨウコちゃんはあんなに笑ったけど。

「やだなぁ、大丈夫です。そんなに毎日、眩暈してたら病気だよ?」

 そうだよなぁ、と電話口で笑っている。ミナトさんも部屋に居るのかな。

「仕事、お疲れ様です」

「ありがとー俺もさっき帰ってきてさ」

 作るの面倒だったから、お弁当買ってきて食べたって言う。あたしもお腹空いたな。冷蔵庫に何かあっただろうか。

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