隻眼金魚~きみがくれた祈りのキス~
「あたし、側に居たい人がいるもの……」
それだけで、あたしはそれだけで生きている。死んだりなんかしない。片目が見えないのなんか、なんとも思わない。蓮と一緒に居たいから。見えない片目は、いつも蓮を見ているんだ。ずっと見ていたし、見ていたい。生きて、生きるんだ……!
「死んだら、それで終わりだよ、ミナトさん」
「……」
「彼女との、思い出も……死んじゃうよ」
目の縁を赤くして、ミナトさんはあたしを見ている。泣き顔は、まるで迷子にでもなった子供みたいで。抱きしめてあげたくなる。
「あたし、彼女のこと知らないから、あんまり勝手なこと言えないけど」
愛する人に、死なれたミナトさん。自ら命を絶った愛する彼女。救えなかった自分を責めて、ミナトさんは生きている。
救いを求めるみたいに、すがるように見てくるミナトさんの目。自分を責めて生きてるミナトさんは、蓮の姿と重なる。あたしに怪我を負わせてしまった自分を責めて、償いながら生きてる。あたしにはそう見えるから。
「辛いけど、死んじゃだめだよ、ミナトさん……」
全滅してもやり直せるゲームみたいに、リセットボタンがあるなら、きっと押したくなるだろう。でも、人間にはそんなの無い。人生は1回きり。死んだら全てが終わり。命の再生なんか無いんだ。
「……ぅ」
「命の再生は無いけど、心はやり直せると思うよ、あたし」
ミナトさんは、あたしの手を離す。そして膝から崩れて、声を上げて泣き出した。コンクリートに打たれる膝。あたしは、そんなミナトさんを抱きしめる。
それだけで、あたしはそれだけで生きている。死んだりなんかしない。片目が見えないのなんか、なんとも思わない。蓮と一緒に居たいから。見えない片目は、いつも蓮を見ているんだ。ずっと見ていたし、見ていたい。生きて、生きるんだ……!
「死んだら、それで終わりだよ、ミナトさん」
「……」
「彼女との、思い出も……死んじゃうよ」
目の縁を赤くして、ミナトさんはあたしを見ている。泣き顔は、まるで迷子にでもなった子供みたいで。抱きしめてあげたくなる。
「あたし、彼女のこと知らないから、あんまり勝手なこと言えないけど」
愛する人に、死なれたミナトさん。自ら命を絶った愛する彼女。救えなかった自分を責めて、ミナトさんは生きている。
救いを求めるみたいに、すがるように見てくるミナトさんの目。自分を責めて生きてるミナトさんは、蓮の姿と重なる。あたしに怪我を負わせてしまった自分を責めて、償いながら生きてる。あたしにはそう見えるから。
「辛いけど、死んじゃだめだよ、ミナトさん……」
全滅してもやり直せるゲームみたいに、リセットボタンがあるなら、きっと押したくなるだろう。でも、人間にはそんなの無い。人生は1回きり。死んだら全てが終わり。命の再生なんか無いんだ。
「……ぅ」
「命の再生は無いけど、心はやり直せると思うよ、あたし」
ミナトさんは、あたしの手を離す。そして膝から崩れて、声を上げて泣き出した。コンクリートに打たれる膝。あたしは、そんなミナトさんを抱きしめる。