TITOSE
「お前…っ」

耳を澄ませて、相手の場所を探る。

千歳が刀を振り下ろすと、ガキーンッと、刀がぶつかった。

砂埃で視界が霞む。

ただ、刀と刀がぶつかりあう音が響くだけ。

「お前が…!お前が島民を…夏を殺したのか!!」

千歳の怒り声が、空に響いた。

その声は、物凄い怒りを秘めた心の底からの叫び。

「だったら何だ?お前のだ~い好きな人たちを、共に逝(い)かせてやろうと思ってな」

ニヤリと五郎丸は笑う。

千歳は、怒りに震え始めた。

何もしていない島民…夏まで殺した五郎丸が、憎かった。
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