TITOSE
「許さん!お前だけは絶対に…絶対に許さん!!」

千歳の叫び声と同時に、砂埃が一旦消えた。

長めの髪は後ろで束ねてあり、怒りに満ちた瞳からは涙が一筋。

そしてまた風が吹き、砂埃が立つ。

「涙、ねぇ…。分かっていたんじゃないのか?いつかこうなると」

五郎丸の言葉に、千歳は唇を噛み締めた。

「…侍など、捨てようと思った」

千歳は、ボソッと呟いた。

その言葉に、五郎丸は鼻で笑う。

「はっ!侍を捨てる?なるほどなぁ…」

千歳は、涙を両目から流した。

「…俺は、仲間だった侍を殺したくはなかった」

千歳は、そう言って刀を構えなおした。

「でも…」
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