TITOSE
百合子と千歳は、二人買い出しをしていた。

「あれ、百合子ちゃん。誰だい、その人は」

そう言われて、百合子は困った顔をした。

好きだけど、付き合ってないし。

家族でもないし。

「恋人ですよ」

クスッと笑って、さらりと言った千歳の横顔を見て、百合子は固まった。

「…恋人かい。熱いね~。安くしとくよ」

中さんが、少し安くしてくれる。

百合子は、千歳の『恋人』発言にドキドキしながら買い物を終えた。

「百合子」

いきなり、千歳が百合子の肩を掴み、抱きしめた。

「!?」

「…好きだ」

百合子は、そんな千歳の言葉に顔を真っ赤にした。

確か、美代は平吉を断ったと言っていた。

知っていたのか。

そんなことを考えていた。
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