TITOSE
「うち?夏っていいます。あんたさんは?」

夏に微笑まれ、千歳はフイッとそっぽを向いた。

「…千歳」

ボソッと言うと、また千歳は夏の方を見た。

可愛らしい笑顔を見て、またそっぽを向く。

「千歳ね。でも、どないしたん?すっごいお腹減っとるみたいやったけど」

そう言われ、千歳は何かを思い出したように目を見開いた。

「駄目だ。ここにいては…っ!!」

千歳が起きあがろうとすると、夏が止めた。

「今は体力の限界やさかい、起きたらあかん!しばらく寝とりぃ!」

怒鳴られた千歳は、少し驚いていたが、渋々寝転がった。

「…夏」

千歳は、少し時間が経ってから夏の着物を引っ張った。
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