バケバケ
その後、私たちは地下室みたいなところに案内された。
12畳ほどのその部屋の奥には壁一面の大きなモニター、その下には人が回転椅子に座っていた。
「ちゃんと来たんだ。」
人が振り返る。
髪が長めだから喋るまで分からなかったけど男の人だった。
「聞きたいことが山ほどあるからな。」
「知ってる範囲で話してやるよ。その前に……」
その人は私の方を見た。
「さっきのこと、謝らせて欲しいな。つーか言い訳させてよ。」
男の人は立ち上がり、シイの前に立った。
意外に背が高い。
シイより5センチくらい高かった。
「さてと、まずは洋子に自己紹介。」
「私の名前、知ってるの?」
「もちろん。洋子は今バケバケたちの間では有名人だからね。」
「あなたもバケバケ?」
「いいや、俺は人間の神埼灰音。気軽に灰音ってよんじゃってよ。」
灰音が私に片手を伸ばした。
私は少し戸惑いながらも手を伸ばし、握手をした。
「坂本洋子だよ。よろしく。」