バケバケ
「そうだよ、あるだろこの辺に痣みたいなやつが。」
そう言って灰音は自分の胸元を指差した。
「お風呂の時とかみるけどアルファベットなんかないよ?」
「いや、絶対あるはずだ。洋子はバケバコを壊したんだから。…シイ。」
「ん?」
「お前は見ただろ、洋子の体のどこかにアルファベットがあるはずなんだ。」
「見てるわけないだろ!」
「えぇ!!なんだよ、奥手だなぁ。」
「……」
「でも洋子が見てないってことは……ちょっと洋子後ろ向いて。」
「こう?」
私は灰音に背中を向けた。
「ありがと。」
―バッ―
灰音は私のYシャツの背をめくった。
「灰音!!」
「落ち着けって、シイ。…あったあった、これ見ろよ。」
「……なんだこれ。……M?」
…M?
「なに?私の背中なんかなってるの?」
「黒っぽい痣みたいなやつが…Mって形してる。」
「Mってどういうこと?」