バケバケ
「monopoly…」
灰音が呟いた。
「ものぽりー?」
「あぁ。このMはmonopolyの頭文字だよ。」
灰音は私のYシャツを直し、自分の服の胸元をめくって見せた。
「俺のは…ほらBとG。」
灰音の鎖骨の下辺りに1センチほどの黒い痣があった。
たしかに、BとGの形をしている。
「灰音、これはなんなの?」
「これは壊したバケバコを示してんだ。」
「バケバコを…?」
「実はバケバコは全部で26種類あって、それぞれに名前がついてる。」
「バケバコってそんなにあるんだ。」
「ただ、25個は失敗作。完全なバケバコは一つだけ。トキはその一つだけを手元に置いて、残りはその辺のバケバケたちに渡した。」
そういえば、黄金はバケバコを女にもらったって言ってた。
「そんで、トキは今唯一の完成品でとんでもないことをしようとしてるみたいだ。」
「とんでもないこと?」