バケバケ
「死者の復活。」
隣でシイがポツリと言った。
「えっ?」
「あの女の性格考えたらそんな感じだろ。違うか、灰音?」
灰音は頷いて続けた。
「トキは本当は完成品で、ある人に永遠の命を与えようとした。」
「ある人って…」
私はあの雨の日を思い出した。
黒い服の女の人…
その人が最初に会いたがっていたのは…
「おじいちゃん…」
「そうそう。洋子のじぃちゃん、秋仁さん。トキは彼に永遠の命を与えようとしたけど彼はもう亡くなってた。」
「だからバケバコを使って復活させようとしてるの?そんなことが出来るの?」
「出来るんじゃない?バケバコの力は未知数だし。でも…」
「でも?」
「何の犠牲もなくは出来ない。」
「犠牲…」
「これは仮定だけど、死者の復活には人間が必要なのかもしれない。」
「どういうこと?」
「バケバケは人間の心を原動力に動くわけだから、当然バケバコにも人間が必要。しかもトキはバケバコの失敗作を他のバケバケにばらまいた。」
「復活のための力を集めているんだな。」
シイが口元に手を当てて言った。