バケバケ
もしかして…
「ねぇ莉子、窓ガラスの件あの後どうなったの?」
「窓ガラス?なぁにそれ。」
なかったことになってる…?
それじゃあこれが灰音の言ってた面白いことか。
「ごめん、なんでもない。」
私が教室を抜けたのは腹痛ってことになってるってわけなんだね。
よかった…のか?
とりあえず今は。
その後、私は何事もなかったように授業を受け、家に帰った。
「ただいまー。」
「お帰り。ご飯出来てるわよ。」
リビングからお母さんの声がする。
「あれ、シイは?」
「シイ君ならご飯食べて2階で寝てるよ。」
「え…」
まさかあの時の傷が…
「なんか服をひどく汚して帰ってきたから…とりあえず家にあった男物の服着せたけど…」
お母さんはテーブルに夕飯を並べながら笑った。
「今度シイ君の服も買ってあげなくちゃ。男の子ってワンパクだからすぐ着る服なくなっちゃうわ。」
「うん…私、ちょっとシイの様子みてくる。」