バケバケ
「やっぱりダメか。」
隣でシイが呟く。
「当たり前でしょ、不法侵入だよ。」
「うーん、どうしたもんかな…」
「まだバケバコが絡んでるってはっきりしてるわけじゃないし、別に急がなくても…」
「今はな。園児も無事だし、園の関係者が謝罪して回ってるだけらしいけど、これが消えて戻って来ないってなったら…大パニックになるぞ。」
「…そうだね。」
「はぁー」
二人で大きくため息をついた。
「園児の親に聞き込みするか?」
「話してくれるかなぁ、今きっと警戒してるだろうし。」
「……」
「……」
「お困りのようだね。」
途方に暮れて園の前で立ち尽くす私たちの後ろから突然声がした。
この声…
「灰音!それにエレジーも!」
「やぁやぁ、シイに洋子。何してんだ??」
「まぁ目的なんて一つでしかないでしょうねぇ。こんなところ…」
そう言ってエレジーは大きな愛空幼稚園の建物を見上げた。